分娩の過程の中で、難易を決定する因子があります。
その経過は
◾️娩出力
◾️産道
◾️娩出物
の相互関係により決まります。
では、具体的にどのうような点で決定していくのでしょうか。
今回は、娩出力についてお話をします。
【娩出力とは】
産道を通り、胎児や付属物を娩出する力のことで、陣痛と腹圧からなります。
まず陣痛とは、不随意に起こる子宮の収縮のことであり、分娩の際には痛みを伴います。
さらに、以下のような4種類があります。
①妊娠陣痛
妊娠期の不規則な弱い子宮の収縮であり、痛みがないことが多い。
妊娠後期には頻度が増加します。
②前駆陣痛
妊娠末期に頻繁に起こり、軽い痛みを伴う不規則な子宮の収縮のことです。
分娩陣痛と間違うこともありますが、違いとしては不規則な間隔で起こり、
長時間の休止や最終的になくなることが特徴です。
この陣痛により、子宮頸管が軟らかくなり、短縮することで分娩準備の開始となります。
③分娩陣痛
分娩時にみられる子宮の収縮であり、分娩の進行の原動力となります。
10分おきに規則正しく起こるか、1時間に6回の陣痛が起こるときを分娩の開始とします。
分娩の経過に伴い、開口期陣痛、娩出期陣痛、後産期陣痛に分けられます。
進行とともに、収縮は増強し、間隔は短縮、持続時間は延長します。
胎児の娩出後には比較的に弱いが、持続時間の長い収縮が起こり、胎盤を娩出します。
④後陣痛
産褥期に不規則的にみられる子宮の収縮で、子宮の復古が促進されています。
疼痛がみられることもあり、経産婦に強い傾向があります。
ここから分娩陣痛と腹圧について。
分娩陣痛は、子宮が周期的に収縮と休止を交互に繰り返します。
収縮の持続時間と休止時間を足したものを陣痛周期と呼びます。
一般的には収縮が始まった時間から、次の始まった時間を測ります。
子宮の収縮は不随意に起こりますが、精神活動や、膀胱や直腸の充満、疲労や乳房の刺激により影響されます。
収縮期に伴う痛みの部位は、下腹部や腰部にみられることが多いです。
子宮筋から発生する痛みや子宮下部、子宮頸管の開口する際の痛み、分娩の進行に伴い、軟産道の圧迫や会陰の伸張と圧迫される痛みが伴います。
陣痛が強くなることで痛みが強くなることが多いですが、疼痛には個人差が大きいです。
ちなみに、陣痛の強さは陣痛の周期と子宮の収縮時間を持って評価されます。
子宮口の開口に伴い、強さが増していきます。
そして、子宮収縮に伴い、腹壁筋や横隔膜の収縮が起こり、腹腔内圧は上昇し、子宮体を圧迫して胎児の娩出をサポートします。
分娩が進行すると胎児が軟産道を圧迫するようになると、子宮の収縮と一致し、反射的に腹壁筋、横隔膜の収縮が起こります。
腹圧は娩出期の陣痛を助け、胎児の娩出を容易にします。
その為、呼吸のタイミングが分娩時には大切となります。
この事から、お産の前から呼吸を意識して、横隔膜や腹圧をコントロール出来るようにしておくことは大切だと考えられますね。
今回は分娩に関与する3要素のうち、娩出力に関するお話でした。
最後までお読みいただきありがとうございました✨
ウーマンズヘルスケア研究会
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